2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「ヒロシマ・ボーイ」

こんにちは!平原直美の「ヒロシマ・ボーイ」:作者名は漢字ですが、作者は日系3世のアメリカ人で、原作は英語で翻訳ミステリーです。前作まではアルファベットのNaomi Hiraharaで作品を発表していたそうですが、本作から漢字名になりました。本作は庭師マス…

「依頼人」

こんばんは!ジョン・グリシャムの「依頼人」:映画も原作も大好きです。主人公は11歳のマーク。弟リッキーとともに森へ行った彼は、一台の車が停車し、降りてきた男がゴムホースを排気管に突っ込み、もう一方の端を車に引き込むのを目撃します。この男自殺…

「カラー・パープル」

アリス・ウォーカーの「カラー・パープル」:映画をご覧になった方もいらっしゃると思います。紫色の花畑で幼い黒人姉妹セリーとネッティーが戯れる幸せそうなシーンの美しさは印象的でした。映画はスピルバーグ監督作品で、ヒロインのセリー役はウーピー・…

「白い犬とワルツを」

こんばんは!テリー・ケイの「白い犬とワルツを」:これは映画を観たいと思っていたのですが、観られそうになかったのでとりあえず原作を読んじゃえ、と思って読んだ本です。ミステリーではありませんが、いい小説なので紹介したいと思います。主人公のサム…

「ロング・グッドバイ」

レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」:翻訳は数種類出ていますが、私は村上春樹訳で読みました。「長いお別れ」という邦題で長らく親しまれてきた作品です。チャンドラーファンは圧倒的に男性が多いように思います。しかも多くは熱狂的な信者…

「猫は手がかりを読む」

こんばんは!リリアン・J・ブラウンの「猫は手がかりを読む」:シャム猫ココシリーズの邦訳2作目です。でも原作としては1作目なので、主人公で新聞記者の中年男クィラランは、まだココの飼い主ではありません。新しい職場デイリー・フラクションで与えられた…

「クラーク・アンド・ディヴィジョン」

こんばんは!平原直美の「クラーク・アンド・ディヴィジョン」:作者名は漢字ですが、作者は日系3世のアメリカ人で、原作は英語で翻訳ミステリーです。今月末に行われる西東京読書会の課題本です。当日は翻訳者の先生がゲストでいらっしゃるので、もう一作「…

挫折しちゃった獣医の、それでも彼女と暮らす日々がある、ありがとう!

こんばんは! お題にチャレンジしたので、ちょっといつもとは違う記事です。私は2010年に獣医師師免許を取得しました。社会人からのチャレンジでしたので、年齢も若くなく、資格は取っても就職できるどうか微妙だし、間違った選択だったようにも思いました。…

「五匹の子豚」

アガサ・クリスティの「五匹の子豚」:「五匹の子豚」というマザーグースの童謡があるそうです。ご存じでしたか?私は全然知りませんでした。ある日ポアロのもとを訪れた女性カーラは母カロリンの冤罪を晴らしたいと話します。この事件は16年前夫殺しで彼女…

「子供の眼」

こんばんは!リチャード・ノース・パタースンの「子供の眼」:クズ男、好きですか?小説を読んでいると色々嫌な奴が出てきますが、私がキング・オブ・クズ男だと思うのは、本作に出てくるリッチー・エイリアス。本気で「最低クズ野郎」の称号を捧げます。本…

「ガープの世界」

こんばんは!ジョン・アーヴィングの「ガープの世界」:1978年に発表されたそうです。もうヘンテコ過ぎてなんといっていいかわからないお話です。でも私はこのアーヴィングのヘンテコな世界が、偏見のないただただ愛情に溢れる世界に見えるんです。初読は20…

「幽霊の2/3」

こんばんは!ヘレン・マクロイの「幽霊の2/3」:ちょっと変わった題名ですね。これは互いにクイズを出し合い、一回不正解すると幽霊の1/3になり、二回不正解すると幽霊の2/3、三回不正解で幽霊の3/3になって失格するというゲームのことです。1956年の作品で…

「解錠師」

こんばんは!スティーブ・ハミルトンの「解錠師」:このミス2013年第一位の作品です。主人公はマイクル、幼少期のトラウマで口がきけません。原因はあくまで精神的な問題で、器質的な障害ではないみたいです。物語は獄中のマイクルの独白から始まります。口…

「猫は殺しをかぎつける」

こんばんは!リリアン・J・ブラウンの「猫は殺しをかぎつける」:シャム猫ココシリーズ邦訳一作目です。クィラランはバツイチの中年男、新聞記者をしています。背も高いけれど、横にも大きく、医者に減量を命じられました。彼が「恐怖と戦慄にうち震えながら…

「幽霊屋敷」

こんにちは!ジョン・ディクスン・カーの「幽霊屋敷」:夏なので怪談なんてどうでしょう、というのは冗談でして、この本の原題は、The Man Who Could Not Shudderです。これまでに「震えない男」という邦題で出版されていましたが、新訳の邦題が「幽霊屋敷」…

「音もなく少女は」

こんばんは!ボストン・テランの「音もなく少女は」:ヒロインのイヴは生まれつき耳が聞こえません。彼女の姉メアリーも生まれつき耳が聞こえない。イヴを産んだ時に母親のクラリッサは祈ります。「この子も耳が聞こえないなどということは絶対にありません…

「プラダを着た悪魔」

こんばんは!ローレン・ワイズバーガーの「プラダを着た悪魔」:ミステリーではありません。私が海外小説を読み始めたきっかけは、映画の原作を読むようになったことにあります。だから、ミステリーではない映画の原作も結構読んでいます。映画を観て、あれ…

「エジプト十字架の秘密」

エラリー・クイーンの「エジプト十字架の秘密」:国名シリーズの5作目です。国名シリーズは全9作あり、角川文庫で全作新訳がそろっています。少女漫画みたいな表紙にびっくりですが、今はこういう表紙ははやりみたいで、時々見かけます。このシリーズでは探…

「石の猿」

こんばんは!ジェフリー・ディーヴァーの「石の猿」:ライム・シリーズの4作目です。これは少し異色作かもしれませんが、私は大好きな作品なので推したいと思います。中国人の違法移民を乗せた船、福州竜丸が荒れた海に翻弄されています。もうすぐニューヨー…

「九尾の猫」

こんばんは!エラリー・クイーンの「九尾の猫」:解説(早川書房新訳版、飯城勇三さん執筆)によるとトマス・ハリスの「羊たちの沈黙」(1988年)が火付け役となってブームを巻き起こしたサイコキラー物の先駆として評価されているそうです。「羊たちの沈黙…

「スタンド・バイ・ミー」

スティーヴン・キングの「スタンド・バイ・ミー」:私は映画でも小説でも心が愛する作品と頭が愛する作品がありまして、どちらも私にとっては必要で、本作は映画も小説も、心が愛する作品です。きっかけは映画です。公開当時の大昔、映画館で観てリヴァー・…

「自由研究には向かない殺人」

こんばんは!ホリー・ジャクソンの「自由研究には向かない殺人」:昨年完結した向かない3部作の1作目です。昨年の翻訳ミステリー界で最大の話題だったといっても過言ではない衝撃のシリーズでした。本作はYA小説だそうです。うーんYA小説って何?ヤングアダ…

「囮弁護士」

こんばんは!スコット・トゥローの「囮弁護士」:トゥローは「推定無罪」が有名です。ハリソン・フォード主演の映画もご覧になった方はいらっしゃるのでは?「推定無罪」については、また日を改めて書きたいと思います。カバーに、「推定無罪」を凌ぐと絶賛…

中学の同窓会

こんばんは! ここではあまりプライベートな話はしないつもりで、本について限定して書くようにしていましたが、明日の夜は中学の同窓会に出席します。地元を離れて数十年、ラインのグループを見ても誰が誰やら?どうしよう?全然思い出せない。 まあ、明日…

「二流小説家」

デイヴィッド・ゴードンの「二流小説家」:私はこの小説を愛しています。最初に堂々と告っておきたいと思います。日本のミステリー3大ベスト10で第1位を獲得、上川隆也主演で映画化された話題作です。主人公はしがない小説家ハリー、彼は様々なジャンル小説…

「通い猫アルフィーの約束」

こんばんは!レイチェル・ウェルズの「通い猫アルフィーの約束」:シリーズ第5作目です。近所に日本から来た新しい住人が引っ越してきました。猫を飼っている模様。白と黒と薄茶が混じった毛色(三毛猫ですね)のすごくかわいい女の子ハナ、ジョージと同じく…

「エンプティー・チェア」

ジェフリー・ディーヴァーの「エンプティー・チェア」:リンカーン・ライムシリーズの3作目です。ライムはニューヨーク市警の科学捜査部長だった頃、捜査中の事故で四肢麻痺となってしまい、現在自力で動かせるのは首から上と左手の薬指だけ。でも科学捜査の…

「アルジャーノンに花束を」

ダニエル・キースの「アルジャーノンに花束を」:もう少しお利口になりたい、もしくはもう少し有能になりたい、でも自分の限界を痛いほど感じ、乗り越えられない壁にぶち当たったとき、決してこれ以上の自分になれないと悟ったとき、あるいは今後落ちてゆく…

「死が最後にやってくる」

こんばんは!アガサ・クリスティの「死が最後にやってくる」:紀元前2000年のエジプトが舞台です。クリスティの二人目の夫が考古学者で、一緒にエジプトに旅行した経験から名作「ナイルに死す」が生まれたとか。まだ読んでないけど。さて、ヒロインは若き未…

「クライム・マシン」

こんばんは!ジャック・リッチーの「クライム・マシン」:短編集です。この本のお勧めポイントは、星新一のショートショート的な面白さでしょうか。海外ミステリーの多くは400ページ越えは当たり前、肉食人種は体力があるなあ、と言いたくなる大作が多いです…