2024-01-01から1年間の記事一覧
こんばんは!ロス・トーマスの「狂った宴」:ロス・トーマスは1966年に「冷戦交換ゲーム」でデビューし、アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞を獲得して注目を集めた作家だそうで、邦訳もかつてはそこそこ出ていたみたい。近年はほぼ絶版状態でしたが、昨年…
今週のお題「好きな小説」 ドン・ウィンズロウ著「ボビーZの気怠く優雅な人生」:原題はThe Death and Life of Bobby Z。気怠くも優雅でもないことは300%保証します。でもね、本当にいい作品です。面白くてスピーディーで楽しめる上に主人公の孤独と愛をしみ…
こんばんは!リチャード・ライトの「ネイティヴ・サン」:突然ですが、私はミステリー読みです。読む本の9割は海外ミステリーです。犯人が誰か、動機は何か、この犯罪はどのように行われたのか、すべてが明らかになる終盤に向けて疾走していく物語を追いかけ…
今週のお題「好きな小説」:S・A・コスビー著「黒き荒野の果て」を紹介します。 コスビーの邦訳は現在3作あり、本作「黒き荒野の果て」は邦訳一作目、「頬に哀しみを刻め」が邦訳二作目でこのミス一位に輝きました。三作目の「すべての罪は血を流す」も今年…
今週のお題「好きな小説」に、以前ここで書いた文に少し手を入れて再掲載しました。 ルー・バーニーの「7月のダークライド」を紹介したいと思います。本作はルー・バーニーの邦訳3作目です。バーニーの作品はこれまでに「ガットショット・ストレート」「11月…
こんにちは!ディクスン・カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」:「ロカールの原理」ってご存じですか?ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズでたびたび出てくる鑑識捜査の基本理念です。「犯人と犯行現場、または犯人と被害者のあいだでかならず…
こんにちは!トマス・ハリスの「ブラック・サンデー」:1975年の作品だそうです。ざっくり50年前ですね。ハリスは知る人ぞ知るレクター博士の生みの親ですが、この作品は作者のデビュー作でもちろんレクター博士は出て来ません。このお話はパレスチナ・ゲリ…
こんにちは!アンディ・ウィアーの「火星の人」:SF映画「オデッセイ」の原作で、ウィアーのデビュー作でもあります。本作はご機嫌な一冊で、力いっぱいお勧めします。本を読むのが苦手な人でも楽しく読めると思います。主人公マークは、思わぬ事故により生…
こんばんは!アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」:1926年の作品です。ざっくり100年前の作品なんですね。当時発表されるや否や賛否両論で文壇を大いに沸かせた問題作だったようです。クリスティの用いたトリックがフェアかアンフェアか、という論争でし…
こんばんは!ギリアン・フリンの「ゴーン・ガール」:ベン・アフレックとロザムンド・パイク主演で映画化されました。ご覧になりましたか?ロザムンド・パイク、怖かったですね。小説は2014年のこのミスで9位、文庫の裏表紙では、「全米で200万部を記録した…
こんばんは!アリ・ブランドンの「書店猫ハムレットの跳躍」:全国の猫ファンの皆様、猫が出てくるミステリー、結構あります。この書店猫シリーズは比較的新しいシリーズで、本作は邦訳は一作目ですが、原作としては二作目です。舞台はニューヨーク、ブルッ…
こんにちは!平原直美の「ヒロシマ・ボーイ」:作者名は漢字ですが、作者は日系3世のアメリカ人で、原作は英語で翻訳ミステリーです。前作まではアルファベットのNaomi Hiraharaで作品を発表していたそうですが、本作から漢字名になりました。本作は庭師マス…
こんばんは!ジョン・グリシャムの「依頼人」:映画も原作も大好きです。主人公は11歳のマーク。弟リッキーとともに森へ行った彼は、一台の車が停車し、降りてきた男がゴムホースを排気管に突っ込み、もう一方の端を車に引き込むのを目撃します。この男自殺…
アリス・ウォーカーの「カラー・パープル」:映画をご覧になった方もいらっしゃると思います。紫色の花畑で幼い黒人姉妹セリーとネッティーが戯れる幸せそうなシーンの美しさは印象的でした。映画はスピルバーグ監督作品で、ヒロインのセリー役はウーピー・…
こんばんは!テリー・ケイの「白い犬とワルツを」:これは映画を観たいと思っていたのですが、観られそうになかったのでとりあえず原作を読んじゃえ、と思って読んだ本です。ミステリーではありませんが、いい小説なので紹介したいと思います。主人公のサム…
レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」:翻訳は数種類出ていますが、私は村上春樹訳で読みました。「長いお別れ」という邦題で長らく親しまれてきた作品です。チャンドラーファンは圧倒的に男性が多いように思います。しかも多くは熱狂的な信者…
こんばんは!リリアン・J・ブラウンの「猫は手がかりを読む」:シャム猫ココシリーズの邦訳2作目です。でも原作としては1作目なので、主人公で新聞記者の中年男クィラランは、まだココの飼い主ではありません。新しい職場デイリー・フラクションで与えられた…
こんばんは!平原直美の「クラーク・アンド・ディヴィジョン」:作者名は漢字ですが、作者は日系3世のアメリカ人で、原作は英語で翻訳ミステリーです。今月末に行われる西東京読書会の課題本です。当日は翻訳者の先生がゲストでいらっしゃるので、もう一作「…
こんばんは! お題にチャレンジしたので、ちょっといつもとは違う記事です。私は2010年に獣医師師免許を取得しました。社会人からのチャレンジでしたので、年齢も若くなく、資格は取っても就職できるどうか微妙だし、間違った選択だったようにも思いました。…
アガサ・クリスティの「五匹の子豚」:「五匹の子豚」というマザーグースの童謡があるそうです。ご存じでしたか?私は全然知りませんでした。ある日ポアロのもとを訪れた女性カーラは母カロリンの冤罪を晴らしたいと話します。この事件は16年前夫殺しで彼女…
こんばんは!リチャード・ノース・パタースンの「子供の眼」:クズ男、好きですか?小説を読んでいると色々嫌な奴が出てきますが、私がキング・オブ・クズ男だと思うのは、本作に出てくるリッチー・エイリアス。本気で「最低クズ野郎」の称号を捧げます。本…
こんばんは!ジョン・アーヴィングの「ガープの世界」:1978年に発表されたそうです。もうヘンテコ過ぎてなんといっていいかわからないお話です。でも私はこのアーヴィングのヘンテコな世界が、偏見のないただただ愛情に溢れる世界に見えるんです。初読は20…
こんばんは!ヘレン・マクロイの「幽霊の2/3」:ちょっと変わった題名ですね。これは互いにクイズを出し合い、一回不正解すると幽霊の1/3になり、二回不正解すると幽霊の2/3、三回不正解で幽霊の3/3になって失格するというゲームのことです。1956年の作品で…
こんばんは!スティーブ・ハミルトンの「解錠師」:このミス2013年第一位の作品です。主人公はマイクル、幼少期のトラウマで口がきけません。原因はあくまで精神的な問題で、器質的な障害ではないみたいです。物語は獄中のマイクルの独白から始まります。口…
こんばんは!リリアン・J・ブラウンの「猫は殺しをかぎつける」:シャム猫ココシリーズ邦訳一作目です。クィラランはバツイチの中年男、新聞記者をしています。背も高いけれど、横にも大きく、医者に減量を命じられました。彼が「恐怖と戦慄にうち震えながら…
こんにちは!ジョン・ディクスン・カーの「幽霊屋敷」:夏なので怪談なんてどうでしょう、というのは冗談でして、この本の原題は、The Man Who Could Not Shudderです。これまでに「震えない男」という邦題で出版されていましたが、新訳の邦題が「幽霊屋敷」…
こんばんは!ボストン・テランの「音もなく少女は」:ヒロインのイヴは生まれつき耳が聞こえません。彼女の姉メアリーも生まれつき耳が聞こえない。イヴを産んだ時に母親のクラリッサは祈ります。「この子も耳が聞こえないなどということは絶対にありません…
こんばんは!ローレン・ワイズバーガーの「プラダを着た悪魔」:ミステリーではありません。私が海外小説を読み始めたきっかけは、映画の原作を読むようになったことにあります。だから、ミステリーではない映画の原作も結構読んでいます。映画を観て、あれ…
エラリー・クイーンの「エジプト十字架の秘密」:国名シリーズの5作目です。国名シリーズは全9作あり、角川文庫で全作新訳がそろっています。少女漫画みたいな表紙にびっくりですが、今はこういう表紙ははやりみたいで、時々見かけます。このシリーズでは探…
こんばんは!ジェフリー・ディーヴァーの「石の猿」:ライム・シリーズの4作目です。これは少し異色作かもしれませんが、私は大好きな作品なので推したいと思います。中国人の違法移民を乗せた船、福州竜丸が荒れた海に翻弄されています。もうすぐニューヨー…