「ペイ・フォワード」

こんばんは!
キャサリン・ライアン・ハイドの「ペイ・フォワード」:映画の原作で映画がよかったので読んだ小説です。私の愛してやまない殺人事件ではありませんが、前向きなメッセージが美しい作品だと思います。
12歳のトレヴァー少年は「世界を変える方法」という宿題に取り組みました。「ぼくが3人に何かいいことをする。彼らがお返しをしたいと言ったら、それを他の人に返してもらうんだ」。思わず襟を正すしかありません。今まで私は恩を仇で返してきたかも、といきなり反省モードに陥りました。受けた御恩をご当人にも返してこれなかった私は静かに首を垂れるのみ。他人に還元するなんてとてもとても。まあ、そういう大人も普通にいるので、トレヴァーもこの計画がなかなかうまくいかない。でもトレヴァーのすばらしさは彼の成育歴の厳しさに負けずに前向きに取り組んだことです。父親はDV夫、母はアル中で、決して両親に甘えられる境遇ではありません。でも、善意を信じる。その強さに脱帽する、本当にこの少年に魅了されます。
もう一人語るべき人物はこの宿題を出した教師のルーベン。彼は顔に大きな傷があり、眼球を失った方の眼に眼帯をしています。トレヴァーは「その顔どうしたの?」とストレートに聞きます。ルーベンはヴェトナムで負傷した、と答えます。相手の容貌が異様であったり、体に著しい障害があったり、明らかな外見上のハンデを見たときに、やはりその話題を持ち出すことに躊躇するのは普通にあることだと思います。触れることが相手に失礼ではないか、傷つけるのではないか、何か怖れに近い感情を抱いて見て見ぬふりをしてしまう。でもそれは相手の存在を無視することにつながるのかもしれません。
さて、トレヴァーは広告を出して助けが必要な人にメッセージを送りました。
「運に見放されたあなたに、現金とそれ以外の援助を与えます。お望みの方は、土曜日の朝九時に、トラフィック通りとカミーノ通りの角に来てください」
彼は路上生活者のジェリーを家に入れ、シャワーを浴びさせます。戸惑うトレヴァーの母にジェリーは言います。「おれは、ペイ・イット・フォワードを実行しなくちゃいけないんです」。
ペイ・イット・フォワード、トレヴァーの挑戦の顛末をぜひお読みください。
お休みなさい。2024/9/10