「ミザリー」

こんばんは!
スティーヴン・キングの「ミザリー」:本当に怖いキング本。キングの本を網羅しているわけではありませんが、これ、きっと恐怖度は絶対高いはず。私はキングのホラーはたぶん読んだことはなく、基本は観た映画の原作ぐらいで、本作もホラーではありません。でもとても怖い、そして映画も怖かった!アニー役のキャシー・ベイツの恐ろしさと迫力はある意味必見です。映画もお勧めします。
作家のポール・シェルダンは、雪の山道でスリップ事故を起こしてしまい、大けがを負います。ポールを救護したのは元看護師でポールの大ファンのアニー。普通ならラッキーですよね。絶対に良くしてくれるはず。でもアニーは違います。彼女はポールの「ナンバーワンの愛読者」と自称しますが、最悪の愛読者でした。ただ看護師だからポールの看護はできるので、病院に運ぶ必要はなかった。ここが怖いところです。病院に連れて行ってくれないんです。ポールはアニーの自宅に監禁され、激しやすく残酷なアニーに翻弄される日々を送るしかない。だって大けがを負って自力で動くことができず、アニーにすがるしかないから。鎮痛剤をもらえないと痛くて耐えられない。アニーの機嫌を損なったらお薬をもらえない。アニーの異常性に怯えながら生きるしかないポール、ホラー以上の恐怖を感じながら、なんとかポールに救いの手が差し伸べられないかと願いながら読みましたが、ポールの受難は続く。
アニーは、ポールのミザリー・シリーズの大ファンです。でもミザリーの最新作の結末が気に入りません。ポールに書き直しを命じます。命令です。ファンとしては逸脱していますね。自分が気に入るストーリーを強要する。もちろんポールはその要求に応えるしかないわけです。
作中作として、私たちはミザリー・シリーズも読みながら、ポールのささやかな脱出努力も読み、もうポールに思いっきり感情移入して助かって!頑張ってポール、そして誰かポールを助けてあげて、と願って読むしかありませんが、アニーの怪物ぶりに無力感を強いられる。幽霊よりもゾンビよりも怖いのは異常な愛読者、というお話です。
こんな紹介でお勧めする気か、あはは、そうなんですよ。恐怖度マックスの本作をぜひご堪能下さい。
お休みなさい。2024/9/12