こんばんは!
レイチェル・ウェルズの「通い猫アルフィーの約束」:シリーズ第5作目です。近所に日本から来た新しい住人が引っ越してきました。猫を飼っている模様。白と黒と薄茶が混じった毛色(三毛猫ですね)のすごくかわいい女の子ハナ、ジョージと同じくらいの年齢らしい。でも彼女は完全室内飼いの猫で外には全く出ないみたい。友達になりたいけれど、それは難しそう。住人は母と娘、シルビーとコニーです。あれ?日本人じゃなかったですね。シルビーは日本にいる夫と離婚手続き中です。コニーも新しい環境に飛び込まなければならない。悩み多き隣人です。お節介なアルフィーが、今回も何やら企みそうなシチュエーションです。
アルフィーの家族達もシルビーとコニーの力になりたいと考え、夕食に招きます。同学年のアレクセイは、新しい学校に通うことに不安そうなコニーに、みんなを紹介するよ、と励まし、コニーもほっとした様子。このまま上手くいくといいのですが・・・
ある日、アルフィーは開いていた窓の隙間からシルビーの家に潜り込むことに成功します。そしてハナと友達になりました。ジョージにもハナを紹介したいと考えます。その方法は、ベランダでガラス越しに会うという方法です。通常この家の窓は閉まっているので仕方ない。それでもいろいろ話し合ってアルフィー達とハナは親しくなってゆきます。
さて、今回の事件は、アレクセイとコニーの交際です。お似合いの微笑ましいカップル誕生に、大人たちは大歓迎。ただ一人シルビーを除いて。シルビーはコニーが男の子と交際するには幼な過ぎると考えています。だって、コニーはまだ14歳なのよ。シルビーは、アレクセイの母親フランチェスカに食って掛かります。フランチェスカも激怒し、シルビーは「あなたちに出会わなければよかった」と捨て台詞を吐いて帰っていきました。コニーはスマホも取り上げられ、アレクセイに会えるのは学校でだけ。かわいそうな二人をどうにかしてあげたいけれど、アルフィーもアイディアが浮かばない。正確に言うと浮かんで実行したけれど、逆効果になったとだけ言っておきます。
でも、楽しいクリスマスがやってきました。今日はみんなでパーティーをする予定でしたが・・・思わぬアクシデントが起こります。でもそのおかげで頑なだったシルビーもパーティーに参加することになってみんなと仲直りすることができました。
物語を締めくくるアルフィーの言葉がよかったので引用します。
「雪に足跡をつけながら、幸せと悲しみに、愛と孤独に、生きていれば避けられない、正反対の感情に包まれた。そして新しい年の始まりと、大好きだったみんな、今大好きなみんな、これから大好きになるみんなに想いを馳せた」
今回の帯には「シリーズ累計10万部突破、猫にも忘れたくない誰かがいる」と書かれていました。そう、アルフィーとジョージには大切な猫がいます。家族同然のタイガー、彼女との別れが今回の主旋律です。タイガーは、アルフィーが野良猫生活からなんとか飼い猫になろうとした過程を支えてくれた友人で、子猫のジョージを迎えた時には母親役を務めてくれました。
「ぼくはじっとしたまま、タイガーの香りを吸いこんだ。すべてを記憶に刻もうとした。タイガーの見た目、タイガーの柔らかさ、タイガーのにおい、くすぐったい毛の感触。なぜなら楽観主義のぼくでも、なんでも解決できるぼくでも、タイガーの問題を解決できないことが痛いほどわかるからだ。いつか、あまり先でないいつか、また大切な存在に別れを告げなければならない。そのときぼくに残されるのはタイガーの思い出だけだから。それをたくさんつくりたかった」
お休みなさい。2024/8/8