こんばんは!
ロス・マクドナルドの「さむけ」(小笠原豊樹訳、1976年9月、ハヤカワ・ミステリ文庫):ハードボイルド作家として名高いロス・マクドナルド、私は初めて読みました。通称ロスマクの作品はかなり入手困難です。私も何冊か入荷待ちにしていますが、やっとこの一冊だけ購入できました。作者の奥さんマーガレット・ミラーもミステリー作家で、「まるで天使のような」で有名です。まだ読んでないけど。
近年では、中国人作家陸秋槎(りくしゅうさ)が、「喪服の似合う少女」(大久保洋子訳、2024年8月、ハヤカワ・ミステリいわゆるポケミス)のあとがきで「本書中国語版の刊行は、ちょうどマクドナルド逝去四十周年にあたり、わたしはこのような方法で、わたしに深い影響をあたえたこの巨匠を記念したいと考えた」と書いていたのが印象的でした。
本作の主人公の私立探偵リュウ・アーチャーはこつこつ証拠集めに取り組む地味な探偵です。彼の私生活もあまり語られない。一人称小説ですが、アーチャーはあまり事件以外のことは語らない語り手です。
彼が今回引き受けた事件は、新婚旅行の初日に失踪した妻のドリーを探して欲しいというものでした。ただこの失踪は誘拐や拉致とは考えにくく事件性が乏しいため、警察も動いてくれない。業を煮やした夫のアレックス・キンケイドはアーチャーに妻の捜索を依頼します。彼女がこの結婚を心から望んでいたはずだと彼は訴えます。
ドリー探しが主眼のお話かと思っていたら実はそうではありません。ドリーはあっさり見つかります。でも彼女は知人のヘレン殺人事件の容疑者としてマークされてしまいます。図らずもヘレンの死体の第一発見者となったドリーは精神的に参ってしまい、危機を感じた精神科医の病院に保護されますが、当局はドリーを執拗に追う。
アーチャーはドリーの無実を信じ調査を続けます。そして彼が辿り着いたのは悲しい家族の長い歴史でした。
お休みなさい。2025/03/27