「黒と白のはざま」

こんばんは!
ロバート・ベイリーの「黒と白のはざま」:印象的な邦題だと思います。原題は、Between Black and Whiteです。訳者解説によるとアメリカ南部における人種差別問題ももちろんですが、Black and Whiteは「白黒はっきりした」「明白な」という意味があり、本作の主要人物ボーがたどり着いた真相が単純明快なものではなかったことを意味しているそうです。ネタバレ厳禁ですので、この話はここまで。
この作品は「ザ・プロフェッサー」の続編で前作では出番が少なかったものの、印象的な人物、ボー・ヘインズの物語です。前作で妻にも死なれたうえに長年勤めた大学から追われたトムが、膀胱癌に見舞われすっかり意気消沈した状況に埋没していることに、教え子でトムを父と慕うボーがあえてトムに苦言を呈す。本当に尻をたたくんですよ。学者だったトムは法廷に立つ弁護士ではなかったものの、立ち上がり、もう一人の教え子リックの苦境を救う。
その後の物語が本作ですので、前作からお読みください。このシリーズは4作あります。基本的には単独作品ではないので、興味を持っていただけたなら順番にお読みください。
黒人弁護士ボーは父親をクー・クラックス・クランKKK)に殺されます。わずか5歳だったボーは目撃した内容を訴えますが相手にされない。後年フットボールのスター選手になったのに怪我で選手生命を絶たれたボーに、法律家として生きる道を示したのがトムでした。ボーはトムを親父さん(おやっさん)と呼び、心底慕います。ボーは優秀な学生だったので引く手あまただったのに、故郷に帰って父を殺したアンディをなんとか法の網でさばきたい。そのために故郷で開業しました。でもボーの45年越しの執念が導いたのは、ボーの冤罪。そしてKKK
アンディが殺されてしまい、物証がボーの犯罪だと示唆する圧倒的に不利な状況の中で、トムとそのパートナーのリックは奔走します。ボーははめられたのだ。
本当にいい作品でした。
お休みなさい。2024/9/21