「レッド・ドラゴン」

こんばんは!
トマス・ハリスの「レッド・ドラゴン」:レクター博士のデビュー作です。あのレクター博士ですよ、と言いたいところですが、若い方には何のことやらですよね。映画「羊たちの沈黙」も衝撃作だったとはいえ、1991年の公開ですので大昔かもしれません。職場の30代女性、ホラーファンのYさんは食いついてくれましたが、ホラーファンとミステリーファンの私たちは特殊なのでは、と言われてしまいました。でも、アンソニー・ホプキンス演じるレクター博士のすばらしさについては、二人で共感いたしました。というわけで昼休みに、彼女はホラー動画を視聴していて、私はミステリーを読み耽っています。心温まる光景です???
元FBI捜査官のウィル・グレアムは、レクター博士の逮捕に関与した時に重傷を負いました。犯人に対する共感力に優れた彼はPTSDに悩まされ、退職して家族とともに海辺の町でのんびり暮らしていましたが、以前の上司、ジャック・クリフォード(「羊たちの沈黙」でも、クラリスの上司として登場します)が現在抱えているシリアルキラーの事件に協力して欲しいと依頼するためにわざわざジャックの自宅まで訪問しました。お気の毒に。ジャック・クリフォードはウィルを評価しているからこそわざわざ勧誘しに来たわけですが、ウィル本人、その家族にとっては災難に近いかも。
作者は割と早い時期に犯人を明かすので、この作品はフーダニットではありません。犯人の人物像を余すことなく描きます。ところでこの犯人は作中で恋をします。自分の容貌に強いコンプレックスを持つ犯人は、盲目だけれども専門職できちんと自立しているレバと付き合うようになりますが・・・シリアルキラーが恋をするとはどういうことなのか?こういう展開はありそうでないかもしれません。
この作品ではさしものレクター博士もあくまで脇役なんですが、ウィルに対する仕打ちの酷さをご堪能(?)下さい。本当に非人劇的な極みであることだけ書いておしまいにしたいと思います。映画もありますので、そちらもよかったらご覧ください。
お休みなさい。2024/10/17