「ロンドン謎解き結婚相談所」

こんばんは!
アリスン・モントクレア「ロンドン謎解き結婚相談所」、2021年2月初版です。新しいぞ。でも舞台は第二次大戦後の1946年のロンドンです。現在このシリーズの邦訳は4冊出ていますので、注目のコージー・ミステリーではないかと。でもね、現在圧倒的な一番人気のコージーはワニ町シリーズです。これ、本当にファンが多くて、まだ読んでないの?的な圧を感じる昨今です。そのうち読もうと思いつつ、積読本の山が・・・コージーだけでも20冊はある。
では、本題に戻りましょう。両隣が空爆で崩壊したのに生き残った建物の一室で二人の女性が結婚相談所を開業します。アイリスとグウェン。アイリスは戦時中に特殊作戦の訓練を受けて情報部の仕事をしていました。現在は子持ちの彼と不倫中。グウェンは上流階級出身の上品な戦争未亡人です。夫を思い出すと泣いてしまう未亡人の鑑ですが、夫が戦死したショックで一時的に精神疾患を患って、その療養中に息子の親権を夫の両親に奪われてしまいます。母親だけど、親権はない。不本意ながら夫の裕福な実家に居候しています。そうしないと息子と一緒に暮らせないから。いかにも凸凹コンビに思えますが、二人は自分にはない相手の美点を認め合っています。アイリスはグウェンが根っからの善人であることと、人の内面を見抜く能力を持っていることを評価しています。グウェンも、アイリスの頭の良さ、豊富な人脈と多彩なスキルに信頼を寄せています。
そんな二人のもとにティリーという若い女性が相談に訪れます。早速二人は彼女にお似合いの相手を探し出します。会計士のディッキー・トロワー。マッチングは二人にとって楽しい仕事みたいで、この作業中の二人の会話は弾んでいます。
グウェン「見かけは内気な男性でも、ミスター・トロワーには人の真価が見える。彼女のほんとうの価値を見抜くはずよ」
アイリス「でもうしろ暗いところがあるって思ったんでしょ?」
グウェン「厳しい人生を送ってきたんじゃないかしら。もっといい暮らしをさせてくれたら、一生彼に感謝すると思う」
この発言はよくわかります。結婚に安定を求める女性の気持ちを優先したマッチングでしたが、女性は欲しいものを与えてくれる男性の幸福を願うことができる。ずるく見えるかもしれませんが、頼りたい気持ちはよくわかります。アイリスもグウェンもシングルですから。
戦争中を生き抜いた若い女性には何か事情があるかもしれませんが、なんとか乗り越えて生き抜いた女性に、二人は堅実で安定感を得られる男性を紹介することにしました・・・ところがティリーは殺されてしまい、トロワーは逮捕されてしまいます。ビジネス的には大打撃ですが、二人は男性の無実を信じ、自分たちの結婚相談所を守るべく捜査を開始します。
ヒロイン二人が追っていたのは顧客を殺した殺人犯。でも、辿り着いたのは大掛かりな衣料配給券偽造事件。第二次大戦後のロンドンではまだまだ配給が大事だったようです。
女性二人のバディ物です。
お休みなさい。2024/5/9