「ゴミと罰」

ジル・チャーチルの「ゴミと罰」:コージーの古典的シリーズ主婦探偵ジェーンの1作目です。原題はGrime and Punishment(『罪と罰』はCrime and Punishment)で、原題に忠実な邦題です。数か月前に夫を亡くし、家事に育児に大忙しのジェーン。上の子二人は少し大人になってきたけれど、末っ子はまだまだ母親に甘える年代でかわいい。今日は隣家のシェリイの家で行われるパーティで人参サラダを作ることになっていたのにすっかり忘れていた!慌てて準備しますが、材料のうちみかんジュースが手に入らない。でも何とか手に入れて作り終わり、ほっとしたところでシェリイからSOSの電話が・・・「掃除婦さんが死んでるの。うちの客用寝室で!」なんてこと!パーティーの料理は近所の主婦が手分けしていたので、今日のシェリイの家では近所の主婦が入れ替わり立ち替わりパーティーの料理を持ち込んでいたのです。ひょっとすると犯人は主婦仲間の誰かかもしれない。ジェーンは主婦仲間から話を聞いて回ったり、犯人をあぶりだすためのわなを仕掛けたりして危ない橋を渡るので、担当刑事に怒られたりしますが、次回以降その刑事さんとのロマンスもありそう?というお話でした。軽いタッチで読めるコージーですが、ミステリー部分もしっかりしているので、2作目以降も読むつもりです。
少し切ないエピソードもあるんです。彼女の夫スティーヴは交通事故で亡くなったのですが、その直前の出来事をジェーンは秘密にしていました。うん、これ、私だって秘密にするよ。誰にも言いたくないよね。でもこのエピソードは効果的だったと思います。ジェーンの心の痛みを読むことで読者にはジェーンに寄り添う気持ちが生まれ、終盤に向けて緊張感が高まったと思います。上手いなあ。気になった方は読んでください。
お休みなさい。2024/6/23