「エンプティー・チェア」

ジェフリー・ディーヴァーの「エンプティー・チェア」:リンカーン・ライムシリーズの3作目です。ライムはニューヨーク市警の科学捜査部長だった頃、捜査中の事故で四肢麻痺となってしまい、現在自力で動かせるのは首から上と左手の薬指だけ。でも科学捜査の専門家として難事件に挑みます。このシリーズの1作目「ボーン・コレクター」と2作目「コフィン・ダンサー」は以前にここで紹介していますが、主人公二人(ライムとサックス)についてほとんど触れていませんでした。このシリーズは脇を固めるライムチームのメンバーも、被害者、あるいは犯人でさえも印象的な人が多いので、主人公に触れなくても文章が書けてしまう。それだけディーヴァーの人物を描く力が素晴らしいということだと思います。
さて、今回の事件の舞台はニューヨークではないんです。舞台はノースカロライナ。脊椎手術を受けるために公私ともにパートナーのサックスと訪れたライムのもとに、予期せぬ訪問者が。「コフィン・ダンサー」で登場した二丁拳銃の刑事、ローランド・ベルのいとこのジム・ベル、パケノーク郡保安官です。今抱えている難事件の捜査協力を依頼しに来ました。何せライムは高名な科学捜査の専門家ですから。ライムは思います。「ほう、この私が証拠を分析していれば話は違っていただろうに。ライムはそう心のなかでつぶやいてから、自分に天罰が下ることがあるとしたら、その罪状は七つの大罪のうちの高慢だろうと思った」。あはは、自覚あるんだ!
七つの大罪で思い出すのは映画「セブン」です。この映画は名優揃い(ブラッド・ピットモーガン・フリーマングウィネス・パルトローケヴィン・スペイシー)の名作ですので、まだ未見のミステリーファンにはお勧めします。観終わった後に救いのなさを感じてもそのぐらい大丈夫でしょ。ミステリーファンなら。
さて、本題に戻りましょう。ライムは成功の見込みの少ない、実験的な手術を受けにやってきたのですが、手術は明後日、それまでは特にやることもないし、一日だけならジムの依頼を引き受けてもいいかも。ジムの依頼は、二人の若い女性が誘拐されているというもの。容疑者は「昆虫少年」ことギャレット・ハンロン。一日だけ引き受けるはずですが、ライムは捜査本部の設置、鑑識技術者、捜査員、必要な検査機器を要求します。そしてお粗末な現場鑑識報告書に眉をひそめます。すべてが不十分です。ライムはサックスに鑑識作業をやり直させます。誘拐現場とギャレットの部屋が捜査対象です。サックスはライムと無線で連絡を取り合いながら作業します。ライムは言います「さあ、サックス、奴の心の中に入れ。君はギャレット・ハンロンだ」。鑑識作業中のサックスに、ライムはいつも犯人の心に入り込むように指示します。サックスは犯人の心を読む能力にたけていて、今回もギャレットの心を感じ取ることができました。
このお話は、少年発見後に信じられない方向に舵を取ります。ライムシリーズですからもちろんどんでん返しに次ぐどんでん返しは当たり前ですが、まさかサックスがそんなことをしてこんなことになるなんて、絶対に予想もできない事態が発生します。アメリア・サックス最大の危機。この苦境から彼女は脱することができるのか?そしてライムは彼女を救えるのか?
この作品もハラハラドキドキが止まりません。お勧めです。堪能してください。
お休みなさい。2024/8/7

「アルジャーノンに花束を」

ダニエル・キースの「アルジャーノンに花束を」:もう少しお利口になりたい、もしくはもう少し有能になりたい、でも自分の限界を痛いほど感じ、乗り越えられない壁にぶち当たったとき、決してこれ以上の自分になれないと悟ったとき、あるいは今後落ちてゆく自分と付き合うしかなくなった時、向上したいのにそんなことは不可能だと悟ったとき、どう生きたらいいのでしょう。
主人公のチャーリーは知的障害を抱えていますが、賢くなりたいといつも願っています。ベーカリーの仕事の傍ら学校にも通っています。賢くなるために。でも障害があるから思うように賢くなることはできない。そんなときに、賢くなる手術の被験者にならないか、という誘いが。チャーリーは応じます。そしてとっても賢くなるんです。同じく手術の被験者にマウスのアルジャーノンがいます。手術によってスーパーマウスとなったアルジャーノン、恐るべき知能を示す彼に、チャーリーは最初は気後れするんですね。でも手術の効果が出て、チャーリー自身も天才になってゆく。もう誰よりも賢い。アルジャーノンに劣等感を抱く必要もない。でも手術の効果は永遠ではない。彼は退行してゆく。以前よりも悪い状態になっていきます。アルジャーノンももうスーパーマウスではない。異常行動を示すようになり、死んでしまいます。この事実はチャーリーの今後を暗示しています。
チャーリーも知能が退行してゆく自分を無視できない状況に陥ります。自立できないぐらい知能が失われていく。今後どうしたらいいのか。その答えをチャーリーは出します。今まで生きてきた世界に別れを告げよう。
この小説ではチャーリーの手記という体裁をとっていますので、チャーリーの知能に応じて文体が変わります。英文ではスペルミスが多い。日本語訳でもたどたどしいへたくそな文章です。知能が上がると知的な文体に変化します。そしてまたもとのたどたどしい文章に戻っていく。知的能力が失われていく彼はそれでもまたかしこくなりたいと書きます。
ここには書けませんが、彼の手記の最後の一文は、きっとあなたの心に刺さるはず。チャーリーの美しい心を最後に感じてください。彼は心の美しさだけは失いませんでした。
お休みなさい。2024/8/6

「死が最後にやってくる」

こんばんは!
アガサ・クリスティの「死が最後にやってくる」:紀元前2000年のエジプトが舞台です。クリスティの二人目の夫が考古学者で、一緒にエジプトに旅行した経験から名作「ナイルに死す」が生まれたとか。まだ読んでないけど。
さて、ヒロインは若き未亡人レニセンブ、娘のテティを連れて実家に戻りました。母は既に他界していますが、父と兄二人、弟一人、兄嫁二人そして祖母のエサの変わらぬ家族のありようにほっとしながら暮らしています。母に仕えていたへネットは、父インホテプには信頼されていますが、他の家族からは嫌われています。へネットは「あなたたちみんなのために奴隷のように働いて」いるのに誰も自分に感謝しない、と愚痴ります。レニセンブは思います。「彼女の愚痴っぽい声。たえまない自己憐憫の言葉。人の口論をかき立てて喜ぶ意地悪さ、そうしたものがみんなに嫌がられていたのだ」。へネットは本当に嫌な人間で、彼女が登場すると読んでるだけでげんなりします。
ある日父インホテプが北の領地から帰館します。家族総出で出迎えましたが、見知らぬ若い美女が父の隣に。インホテプは自分の愛妾ノフレトだと紹介し、歓迎するように家族に言い渡しますが、この美女感じが悪い。家族は誰も彼女に好感を持ちません。ノフレトも家族と親しくする気は全くない様子。さて、この先この家庭ではいろいろ波風が立ちそうです。
インホテプがまた北の領地に行くことになりました。ノフレトを家に残していくことにしますが、ノフレトに家族が意地悪するかもしれません。何かあったら自分に知らせるように言い残してインホテプは出発します。これ幸いとノフレトに意地悪する兄嫁たち。もちろんノフレトはインホテプに連絡します。怒ったインホテプが送って寄こした手紙には、家族と絶縁し、ノフレトを正式な妻にして、自分の財産すべてを共有させるという内容が書かれていました。家族に動揺が広がります。ノフレトの思うつぼになってしまいました。この先家族の運命は?
レニセンブは、ノフレトのことが好きではありませんでしたが、ノフレトと家族の争いには加担しませんでした。彼女が頼りにしている人物は二人。祖母のエサと、この家に長らく書記として仕えているホリ。レニセンブは、家族を襲った悲劇の渦中でこの二人と話し合いながら危機を乗り越えようとしますが、彼女にも犯人の魔の手が伸びてしまいます。どうなるレニセンブ、というようなお話でした。
印象深い登場人物は祖母エサです。エサは聡明で人生をよくわかっている老婦人です。インホテプの留守中には、兄嫁たちにこう忠告します。「権力を持ってるのはノフレトで、おまえさんたちじゃないんだよ。おまえさんたちのやってることったら、みすみす、ノフレトのかけた罠に落ちてるようなもんだ」。兄嫁たちからしたらいまいましい話でしょうが、愛妾に勝てるわけがない。意地悪している場合ではなかったのは確かです。
お休みなさい。2024/8/5

「クライム・マシン」

こんばんは!
ジャック・リッチーの「クライム・マシン」:短編集です。この本のお勧めポイントは、星新一ショートショート的な面白さでしょうか。海外ミステリーの多くは400ページ越えは当たり前、肉食人種は体力があるなあ、と言いたくなる大作が多いですよね。私がいつも本ばかり読んでいるのを見て、普段本を読まないけれど何か読んでみようと思う方からお勧めは何か聞かれることが何回かありましたが、大体紹介作を間違えていたようでリピートはなかったかな。まあ、「ボーン・コレクター」、「羊たちの沈黙」、「クリスマスに少女は還る」とか、名作ですが重過ぎました。ただ、書店で普通に売っていて購入しやすいと思ってお勧めしたという言い訳をしておこうと思います。
でもこの本なら楽しんでもらえるかも、と思ったのが本作です。楽に読める上に全部面白い。現在手に入れやすいかどうかはわからないのですが。
表題作の「クライム・マシン」は、殺し屋が、「あなたの仕事を目撃した、自作のタイムマシンを使って」と言って現れた発明家ヘンリーにすっかり騙されるお話です。ネタバレが怖いのでここで止めます。
私の一番のお気に入りは「こんな日もあるさ」のターンバックル部長刑事。彼の推理はもっともらしく読んでいてほほうと思わされるのに、的外れ、でも事件は解決します。この外し方を堪能してください。ターンバックル部長刑事はシリーズ化されているそうなので見つけたらまた読みたいと思ってはいますが、本の入手が難しい。リッチーの他の本を私はまだ入手できていないんです。この短編集の他の作品も紹介したいのですが、ネタバレなしで紹介するのは難しい。
後書で紹介されているリッチー最短の小説を引用して今日は終わります。
「すべてが終わったとき地球上には二人の人間が残った。二十年後、年上の男が死んだ。
そして彼は言った。『まだもう少し削れると思うんだよ』」。
今日も読んでくださった方、ありがとうございます。
お休みなさい。2024/8/4

「ロンドン謎解き結婚相談所」

こんばんは!
アリスン・モントクレア「ロンドン謎解き結婚相談所」、2021年2月初版です。新しいぞ。でも舞台は第二次大戦後の1946年のロンドンです。現在このシリーズの邦訳は4冊出ていますので、注目のコージー・ミステリーではないかと。でもね、現在圧倒的な一番人気のコージーはワニ町シリーズです。これ、本当にファンが多くて、まだ読んでないの?的な圧を感じる昨今です。そのうち読もうと思いつつ、積読本の山が・・・コージーだけでも20冊はある。
では、本題に戻りましょう。両隣が空爆で崩壊したのに生き残った建物の一室で二人の女性が結婚相談所を開業します。アイリスとグウェン。アイリスは戦時中に特殊作戦の訓練を受けて情報部の仕事をしていました。現在は子持ちの彼と不倫中。グウェンは上流階級出身の上品な戦争未亡人です。夫を思い出すと泣いてしまう未亡人の鑑ですが、夫が戦死したショックで一時的に精神疾患を患って、その療養中に息子の親権を夫の両親に奪われてしまいます。母親だけど、親権はない。不本意ながら夫の裕福な実家に居候しています。そうしないと息子と一緒に暮らせないから。いかにも凸凹コンビに思えますが、二人は自分にはない相手の美点を認め合っています。アイリスはグウェンが根っからの善人であることと、人の内面を見抜く能力を持っていることを評価しています。グウェンも、アイリスの頭の良さ、豊富な人脈と多彩なスキルに信頼を寄せています。
そんな二人のもとにティリーという若い女性が相談に訪れます。早速二人は彼女にお似合いの相手を探し出します。会計士のディッキー・トロワー。マッチングは二人にとって楽しい仕事みたいで、この作業中の二人の会話は弾んでいます。
グウェン「見かけは内気な男性でも、ミスター・トロワーには人の真価が見える。彼女のほんとうの価値を見抜くはずよ」
アイリス「でもうしろ暗いところがあるって思ったんでしょ?」
グウェン「厳しい人生を送ってきたんじゃないかしら。もっといい暮らしをさせてくれたら、一生彼に感謝すると思う」
この発言はよくわかります。結婚に安定を求める女性の気持ちを優先したマッチングでしたが、女性は欲しいものを与えてくれる男性の幸福を願うことができる。ずるく見えるかもしれませんが、頼りたい気持ちはよくわかります。アイリスもグウェンもシングルですから。
戦争中を生き抜いた若い女性には何か事情があるかもしれませんが、なんとか乗り越えて生き抜いた女性に、二人は堅実で安定感を得られる男性を紹介することにしました・・・ところがティリーは殺されてしまい、トロワーは逮捕されてしまいます。ビジネス的には大打撃ですが、二人は男性の無実を信じ、自分たちの結婚相談所を守るべく捜査を開始します。
ヒロイン二人が追っていたのは顧客を殺した殺人犯。でも、辿り着いたのは大掛かりな衣料配給券偽造事件。第二次大戦後のロンドンではまだまだ配給が大事だったようです。
女性二人のバディ物です。
お休みなさい。2024/5/9

「猫は14の謎をもつ」

こんばんは!
リリアン・J・ブラウンの「猫は14の謎をもつ」。ブラウンはシャム猫ココシリーズで有名です。猫コージーとしては大変な長寿シリーズで愛読されている方もいると思いますが、本作はココシリーズとは無関係の短編集で14作収録されています。
1作目「猫は神経を集中する」の冒頭の1文がこれ。「生まれてまもなく、ファット・ファットは人間が下等な種族であることを悟った」。来た!高慢系シャム猫。ココシリーズでは、ココを始め猫の内面描写はなく擬人化度低めですが、この短編集では必ずしもそうではありません。ファット・ファットの高慢ぶりを紹介します。いかに自分が飼い主を教育しているか偉そうに語ります。「ディナーの時間になるといつも、ファット・ファットは部屋の隅に座り、精神集中をしてテレパシーを送る。すると突然、あたかも自分たちで思いついたかのように、彼らはこういうのだった。『猫にエサをやる時間だ』」。実際猫に飼いならされていると感じている飼い主さんは少なくはないと思っています。小さな悪魔に翻弄されるのもまた楽しい。
でも!猫ごときに飼いならされてたまるか、という方にもお勧めの作品があります。2作目の「大きな水たまりが現れた週末」は、濡れ衣を着せられたパーシーのお話です。パーシーはお利口でお行儀がいい猫です。飼い主さんを困らせるようないたずらなど決してしません。飼い主さんのお宅にお客が来ます。もちろん、パーシーはいつもと同じでお行儀よく振舞っていますが、夜中に現れた幽霊たちが部屋中を荒らします。残念ながらこのおうちに幽霊がいることを飼い主さんは知らないんですね。翌朝起きてきた人間たちは猫のパーシーの仕業だと誤解します。お行儀がよく賢い猫なのに、思いもよらない濡れ衣に彼はすっかり誇りを傷つけられます。哀れ、パーシー。「パーシーは誇りを傷つけられ、ソファの下の避難所から出ようとせず、朝食すら食べようとしなかった」。
でも殺人事件も必要では?と思う方にもお勧めのお話があります。「マダム・フロイの罪」なんてどうでしょう?人間の被害者は猫嫌いなので、マダム・フロイ(猫です)の息子を転落死させます。クソ野郎ですね(失礼!)。猫のマダム・フロイは息子を殺したクソ野郎に(またまた失礼!)見事に復讐を果たしました。同じように転落死させます。猫が殺人犯です。でも猫が死んでしまう話なので読後感がいいかと言われると微妙かもしれません。天晴れ、マダム・フロイだけど、猫が虐待される話はつらかった。
さて、人間が無残に殺される話を平気で毎日読んでいるくせに、動物が死ぬ話は嫌いだ、というミステリーファンは意外といます。あなたはどう思われますか?
お休みなさい。2024/5/28

「コフィン・ダンサー」

こんばんは!
ジェフリー・ディーヴァーの「コフィン・ダンサー」:リンカーン・ライムシリーズの2作目です。ライムはニューヨーク市警の科学捜査部長だった頃、捜査中の事故で四肢麻痺となってしまい、現在自力で動かせるのは首から上と左手の薬指だけ。でも科学捜査の専門家として難事件に挑みます。今回はコフィン・ダンサーと呼ばれる殺し屋が相手です。この男は、腕に棺の前で女と踊る死神の刺青があるらしい。彼を雇ったのは実業家のハンセン。裏で武器の密輸をしています。FBIとニューヨーク市警は、ハンセンを逮捕しようと躍起になっていて、やっと突破口が見つかりました。ハンセンを有罪に追い込むことが可能な証人3人、彼らに証言させることができればハンセンを追い詰めることができる。しかし、そのうちの1人がダンサーに殺されてしまいました。ライムにとってはダンサーは因縁の相手です。彼は以前ダンサーに部下を2人殺されていたのです。
証人3人はいずれもパイロット、エドとパーシーは夫婦で、ヘイルはエドとパーシーが経営する航空会社に勤務しています。しかしエドは操縦していた飛行機の爆発で命を落とします。残された証人2人が証言する予定の大陪審まで残り45時間、ライムはダンサーを捕まえられるのか。
この物語で印象的な人物は、まず証人の1人パーシーです。抜群の腕を持つパイロットであり、不屈の闘志を持つ女性、彼女は殺し屋に狙われている状況でもフライトを諦めません。明日飛行機を飛ばさなければ大口の顧客を失ってしまう。ライムとパーシーは2人で話し合い、妥協案を探りました。2人の証人を分署に向かわせたと偽って、飛行機を予定通りに飛ばす。パーシーが操縦します。まさか、本当に?
もう一人印象的な人物はローランド・ベル。ニューヨーク市警殺人課の刑事で、証人保護のスペシャリストです。温厚そうに見えますが、いざとなれば二丁拳銃をぶっ放して証人を守る。カッコイイです。
この犯人、爆弾も使いますが、銃の腕も確かなら、変装も得意だし、情報戦にも強い。手強過ぎです。あの手この手で証人の命を狙います。ライムと彼の助手で恋人の警察官サックスは証拠を集めて分析に励みますが、なかなか詰め切れない。
パーシーは何度危機に遭遇してもひるむことなく飛行機を飛ばします。この人凄い。ベルは飛行機が苦手ですが、同乗します。このフライト、なんとか無事に終わりそうかと思われたところでライムは気が付きます。ダンサーは今回も飛行機に爆弾を仕掛けている。高度差式の爆弾、高度5000フィートで爆発する。このフライトは圧巻です。パーシーも知力を尽くし、持てる技術を駆使してこの難しいフライトに挑みます。私はすっかりパーシーに魅了されました。
犯人とライムの息詰まる攻防は、一瞬も読者を楽にさせてくれません。もう手に汗握って読み切って下さい。読みどころ満載でまだまだ語りきれませんが、今日はこの辺で。
お休みなさい。2024/8/1