「アガサ・レーズンの困った料理」

こんばんは!
M・C・ビートンの英国小さな村の謎シリーズ1作目「アガサ・レーズンの困った料理」:コージーミステリーの人気シリーズで、邦訳ももう20作以上出ています。アガサはロンドンでバリバリのキャリア・ウーマンとして成功しました。早期リタイアをして憧れのコッツウォルズの村で暮らし始めますが、なかなか村に溶け込めない。孤独感が募ります。そこで目を付けたのが村のイベントのキッシュ・コンテスト。これに優勝したら村の人々の仲間に入れてもらえるかも。でもアガサは料理が苦手です???アガサは思います、おいしいお店のキッシュを買ってそれを出せばいいわって、それってズルでは?そうアガサは自分勝手なところがあるのです。押しが強くて強引で、ちょっとそこまでやるの、本気ですか?とこちらが引きたくなるようなことも平気でやらかします。でも彼女反省しないわけではない。暴言を吐いちゃったときには「自分は愛すべき人間ではないという苦い思い」が脳裏をよぎります。「今このパブの床に倒れて死んでも、その死を悼んでくれる人がいるかしら?」。アガサには家族がいません。夫はいたけど行方不明中。究極のダメ男だったのでアガサは別に未練も何も持ってはいませんが、独りぼっちなのは否めない。
さて、のどかなコージーミステリーでも殺人事件は起こります。そして、今回の殺人事件の容疑者はアガサ本人です。アガサのキッシュを食べたミスター・カミングズ=ブラウンが死んでしまった。あらら。この事件がきっかけでアガサが実は料理ができないことも、買ってきたキッシュをこっそりコンテストに出したこともばれてしまいますが、まあそれは自業自得ということで。滑り出し順調とは言えないアガサの田舎暮らしでしたが、それでも村の別のイベントに参加して大活躍、無事に成功に導き、親しい人もそれなりに増えていきます。でもアガサとしてはミスター・カミングズ=ブラウンを殺した犯人を突き止めないことには心が晴れません。物語の終盤でアガサは殺人事件の真相に近づきます。そんなときにお隣に誰か引っ越してきて、なぜか村中のおばさんたちが色めきたちます。中年だけど素敵な「一人者の」男性が引っ越してきたんですね。アガサも遅ればせながらそのことに気が付いてちょっとときめくのですが、もうすぐ殺人事件が解明できそうだし、恋愛なんか後回しでいいわ、と思い事件に没頭します。そのおかげでいけてる隣人男性は、アガサを変人だと思いちょっと腰が引けています。でもアガサは気にしない。まあ、そのうちにそちらの方も考えましょう。
このシリーズももう少し読んでみようと思っています。アガサのことだからまた何かやらかしそうじゃない?
お休みなさい。2024/3/2