「デセプション・ポイント」

こんばんは!
本当は心の底から復讐したい人はいませんか?普通に生きていれば理不尽な扱いに心を痛めることもある。そういうときに倍返し、なんてフレーズは魅力的ですね。でも実生活ではあなたの心を無残に悪気もなく平気で痛めつけた人に仕返しなんてできはしない。恨む気持を抱いてしまったことさえあなた自身を傷つける。でもね、そういうときのお勧め本はダン・ブラウンのノン・シリーズ「デセプション・ポイント」です。本当に荒唐無稽な、ダン・ブラウンだからこそ書けたお話です。
では、あらすじを。レイチェル・セクストンは国家偵察局(NRO)の局員で、大統領に提出する機密情報の分析が仕事です。父は上院議員セジウィック・セクストン、大統領選に名乗りを上げ、現政権がNASAに膨大な予算を費やしていることを批判しています。この親子関係はというと、プライベートでもうまくいっていないうえに、娘は現大統領のもとで働いていて、父は現大統領の対立候補、政治的にも対立しています。父は今の仕事を辞めて自分のもとで働くように勧めますが、レイチェルは拒否します。そんなある日、レイチェルは大統領ザカリー・ハーニーから呼び出され、半ば強引に北極に送り込まれてしまいます。NASAの大発見を確かめるために。そこには海洋学者でテレビのドキュメンタリー番組の司会者であるマイケル・トーランドを始めとした科学者集団がいて、北極で発見された隕石の研究をしていました。これ、ただの隕石ではないんです。中に虫の化石が含まれていました。
「この隕石には化石が含まれている!細菌や微生物ではなく、もっと進化した生物の化石が!宇宙のどこかにたしかな生命がある証拠だ!」
この事実が公表されれば、現大統領とNASAの追い風になるのは間違いありません。それと同時にレイチェルの父セクストンにとっては不利な展開になることは必至。
さて、このお話はダブルヒロイン物です。もう一人のヒロインは、セクストン上院議員の秘書ガブリエール・アッシュです。彼女はある日大統領上級顧問マージョリー・テンチに呼び出されて、自分と上院議員との性行為の写真を見せられます。そして、上院議員との肉体関係を認める宣誓供述書にサインすればこの写真は公表しないと取引きを持ち掛けられます。ガブリエールは拒否しますが、この写真、ラストで思わぬ使い方をされるので楽しみにして読んでください。痛快なんですよ、このエピソード。ああ、ばらしてしまいたい。ガブリエールは忠実な秘書として上院議員に仕えていましたが、何を犠牲にしても大統領になろうとする彼に失望するんですね。
ダン・ブラウンらしいどでかいスケールのお話で、ページをめくる手が止まらなくなる楽しい読書になることは受け合います。「ダヴィンチ・コード」はちょっと難解だと思ったあなたにもお勧めします。読んでね。
さて、この文章の冒頭部分が妙に恨みがましいのは、書いた時(2023/11/9)はまだ私が会社員でストレスにさらされていたからです。今退職して読み直してみると、まあこんな時もあったな、とそれなりに懐かしい?気もするので、あえてそのまま残しました。
お休みなさい。2023/11/9