「しろがねの葉」

こんばんは!
千早茜の「しろがねの葉」(2025/7、新潮文庫):第168回直木賞受賞作です。作者初の時代小説で、戦国時代末期から江戸時代にかけての石見銀山の物語です。農村で生まれ育ったウメは、幼児の時に夜逃げを試みた両親とまだ赤ん坊の弟とともに夜の闇を逃げまどいますが、崖から転落して家族とはぐれてしまいます。母の「日の沈む方へいきんさい!」という言葉を信じて一人山中をさまよいますが、家族との再会はかないませんでした。
ウメは眼がよく夜目が効きます。子供だけど暗闇は怖くない。暗闇の中、葉脈が光る葉を見つけます。銀の在処を教えてくれる羊歯の葉、しろがねの葉。もう体力の限界を迎えたウメは、この山で銀の鉱脈を見つける力に長けた山師の喜兵衛に拾われ、彼と二人で石見銀山の山中で暮らし始めます。次第に喜兵衛の山師としての仕事ぶりに魅了され、銀山で働くようになりました。
現在でも石綿被害に苦しむ人がいるように、銀を掘り出す作業に携わる人々は、粉塵に肺をやられて短命に終わることが多い。女性たちは未来の労働力を産む貴重な資源なので、夫が亡くなっても再婚してまた子を産む。ウメはたった一人の女の子の銀山労働者として、喜兵衛の薫陶の元銀山の労働者として成長していきますが、初潮を迎えたのを機に銀山の仕事を失います。銀山の仕事は男の仕事。
ウメは女だからといって男の庇護のもと生きたいとは思っていません。でも否応なく女の体になっていく。山中でレイプされて妊娠しました。心底憎い男の子供ではありますが、ウメはこの子を産みたかったし、喜兵衛を始め、まわりの人間たちもウメの体を気遣う。でもまだ年若いウメは、結局流産してしまいます。
銀を掘るための坑道は「間歩(まぶ)」と呼ばれ、間歩で働く子供は「手子(てご)」、ウメは銀山の仕事を離れた後も自分は「喜兵衛の手子」であると自負しています。でも、戦国時代が終わった後石見銀山徳川幕府の蔵入地(くらいりち)となり、幕府の役人が管理するいわば国有地となりました。自分の腕一本で生きてきた喜兵衛はその流れについていけず、酒浸りの失意の日々お送るようになります。
ここまでがこのお話のあらすじ前半です。
時代に左右されずに生きることは難しい。男に頼らずに生きていきたいと思ったウメも、結局はほかの女たちと同じ生き方をするようになる。でも、ウメはウメなんですよ。

右の写真は今日食べたランチです。タリーズジェノベーゼって初めて食べましたが、とてもおいしかったです。

お休みなさい。20260107