「狂った宴」

こんばんは!
ロス・トーマスの「狂った宴」:ロス・トーマスは1966年に「冷戦交換ゲーム」でデビューし、アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞を獲得して注目を集めた作家だそうで、邦訳もかつてはそこそこ出ていたみたい。近年はほぼ絶版状態でしたが、昨年「愚者の街」が新訳で出版され、話題になりました。その第二弾と言っていいかわかりませんが、1967年に発表された第二長編の邦訳が今回の「狂った宴」です。日本で出版されるのは今回が初めて、古くからのファンが喜んでいるそうです。実際に私はロス・トーマスの既訳作品を何作かブックオフで入荷待ちしていますが、全然入荷しません。本が入手しにくい作家なのは間違いないようです。
本作は、来月行われる西東京読書会の課題本です。私はロス・トーマスは名前だけ知っている作者という感じでしたが、「愚者の街」に興味があったので、まとめて一緒に読もうかな、と思って両作品とも購入しました。読書会の方はまだ申し込み受け付けが始まっていないので行けるかどうかわかりません。前回の「クラーク・アンド・ディヴィジョン」読書会が受け付け開始5分で締め切ったことを思うと(私はなんとか潜り込めました)、厳しい戦いかも。まあ、もし出席できなくても今年出版された話題作ですから、読んで損はないはず。
舞台はアフリカの小国アルバーティア(ナイジェリアがモデルらしい)、植民地から独立するにあたって国家元首の選挙が行われることになりました。候補者は三人、そのうちの一人、チーフ・アコモロ選挙参謀として乗り込んだのは、辣腕選挙請負人シャルテルと、若手広告マンのアップショー。豊富な資金をバックに金に糸目をつけない選挙戦が始まります。自分たちの候補を売り込む一方で二人は対立候補を一挙につぶすべく作戦を練ります。こう書くとハードでスピード感溢れる展開を想像されるかと思いますが、二人とも現地に住む白人女性と恋仲になってデートを楽しんだりしているし、やたらパーティーで飲み食いにいそしんだりしているので、なんか緊迫感に欠けるんです。あれっ?帯に書いてある「容赦ない悪いやつらの化かし合い!」は一体いつから始まるのだろうかと思って読んでいると、それは突然始まりました。
そう言えば警官が一人、書きかけのダイイングメッセージを残して殺されていたのに忘れておりました。選挙の行方に気を取られていたんですね。この警官の殺人事件に注目して読むべきでした。してやられました。帯の「騙す、眩(くら)ます、ロス・トーマス」は本当でした。
読書会の受け付けは明日の20時から。ぜひ行きたいと思いました。
今回の記事で100回目です。ブログを始めたのは、読書は趣味に過ぎないけれど真剣に取り組みたいと思ったからです。ちょっと大げさですがライフワークにしたい。読んで書く。ただそれだけですが、楽しみながら継続していきたいと思います。スターをつけてくださる方、読んでくださる方、両方してくださる方、励みになっています。ありがとうございます。もしよかったら、今後もよろしくお願いします。
お休みなさい。2024/9/8