こんばんは!
サイモン・カーニックの「ノンストップ!」:普通の営業マンだったはずのトムのもとに電話がかかってくるところから物語は始まります。数年間疎遠だった友人ジャックからだったけれど、なんだか様子がおかしい。誰かに追いかけられて逃げている模様。ああ、捕まって暴行を受けている。殺されかけているジャックが最期に口にしたのはトムの住所、え?典型的な巻き込まれスリラーです。トムは訳はさっぱりわからないけれど危険が迫っているのを感じ、子供たちを連れてとにかく逃げることにします。子供たちを妻の母アイリーンに預かってもらい、仕事場にいるはずの妻に電話しますが捕まらない。焦った彼は妻の職場にでかけますが、妻はいない。しかも床には血痕が・・・もう信じられない危機が次々にトムに降りかかります。妻はどこに?
もう一人の主人公は、国家犯罪対策局のボルト警部補。主席判事の自殺について、判事の弁護士ジャックに事情聴取する予定でしたが、部下からジャックが死体で発見されたと連絡が入ります。そうトムの友人ジャックは弁護士だったのです。弁護士が殺されたとなると、判事は自殺じゃないかもしれない。ボルトは捜査を開始します。
トムとボルトが交代で登場し、短い章を畳みかけるように繰り出しながら話は展開していきます。ちょっとディーヴァーやダン・ブラウンを連想させるかな。トムに降りかかる危機の凄まじさに絶句です。妻もなかなか見つからないし…トムは嘆きます。ついさっきまで自宅でいつもと変わらぬ平穏な休日を過ごしていたのに、もうその普通の暮らしは失われてしまった。そして、やっと見つけた妻には信じられない秘密が・・・私、女だけど、どちらかというとトムの肩を持ちたいと思います。
ボルトが事件解決のためにとった行動には何もそこまで、という思いも感じましたが、同時に強い覚悟と強固な意志も感じられ、ボルトの職業人生が垣間見えるエピソードであったのかもしれません。
救出されたトムをボルトが自宅に送り届けるのですが、このときのボルトがいい味出してます。茫然自失状態のトムにボルトがかける言葉がいいんですよ。ぜひ味わってください。一つだけ引用すると「人生は進む。自分も一緒に進むしかないのさ」。これ、自分が絶望的な気分になったとき用に取って置こうと思いました。まあ、そんな日は来ないはずですが。
お休みなさい。2024/6/14